【定例句会】東京例会 2026年8月
2026年8月9日 東京例会
能村研三選
特選
対のもの対に洗ひて盂蘭盆会 松倉 聖子
対のものと言えば供物だけでなく両親の位牌や遺影も考えられる。「対」のリフレイン表現からは、心を込めて祖霊を供養する盆会を窺うことができる。
準特選
原爆忌モノクロに見る赤き色 池田 文枝
血の色はモノクロの黒の方が独特な色味を見せる。被爆の残虐性が抑制の利いた表現でなされているが、掲句からくる思いの拡がりは限りない。
森岡 正作選
特選
隠沼の底ひは知れず秋の声 池田 文枝
人知れずある沼の、その底へ思いを馳せるときに聞こえる声は、むしろ気配と言えよう。鋭敏な感覚でとらえた清澄な沼の秋の声が聞こえてくる。
準特選
炎天をゆく一点の染みとして 兵藤 惠
炎天下、猛暑で脱力感に満ちた景がイメージできる。そこをゆく自分を外観すると存在感のないただの影のようだ。虚ろな存在を「一点の染み」と表現して詩情が掲出された。
能村研三・森岡正作 共通選
◎ ◎花かぼちや咲かせ老後の無計画 関根 瑶華
◎ ◎まだ雲の隆々として今朝の秋 川高郷之助
◎ ○流れゆく雲に遅れてゆく秋思 能美 茅柴
◎ ○八月のふたたび来てはならぬ途 嶋本 博司
◎ ○稲妻や一瞬立つる天守閣 大多和明彦
◎ ○黙といふ饒舌のあり墓洗ふ 山中 洋子
○ ◎ひぐらしに消されてゆきぬ母の家 七種 年男
○ ◎鎌倉を攻め立ててゐる土用波 福島 茂
能村研三 秀逸選
日本に重き八月八十回 中田とも子
森岡正作 秀逸選
素手で拭くフロントガラス今朝の秋 七種 年男
#沖俳句 #俳句 #句会 #能村研三 #森岡正作